黒柿の不思議

店頭でもオンラインショップでも人気な黒柿。
立ち木の状態では普通の柿の木なのか黒柿なのか見分けはつかず、樹齢100年以上の古木の中でごく稀に現れる希少な材です。
その黒柿の中でも、孔雀の尾羽根に似たような黒い模様が出ている黒柿は孔雀杢と呼ばれてとても人気です!


皆さんは黒柿は好きですか?
私は黒柿は加工しやすく、どれを挽いても違う模様が出て、どれも綺麗なので好きです♪

これは黒柿を挽いた時に長い木くずが出て見事に巻き付いて面白かったので写真を撮ってしまいました(笑)

そんな黒柿の黒い模様ですが、皆さんはなぜあの模様ができるのか知っていますか?
遺伝的要因や土壌、微生物やタンニンの影響などではないかなど色々な仮説が経っていましたが、解明されていなかったのです・・・
ですが、2017年に『希少銘木「黒柿」の物理化学的特徴と生体鉱物化作用』という論文が発表されました!
その論文によると、

金沢市牧山町と俵町の黒柿と土壌を調べて、鉄成分は多くなかったためタンニンと鉄成分が反応して酸化、重合によって黒く変色すると言う説は当てはまらないそうです。代わりにその土壌には、球菌等の微生物が生体アパタイトと呼ばれる人間や脊椎動物の骨や歯に含まれる鉱物を形成する際に使われるカルシウムとリン、硫黄が多く含まれることが分かりました。
黒柿は自分の成長を助けてくれる微生物たちを呼ぶために地中に根から栄養豊富な液を出し、それによって集まってきた微生物が根に入り込みます。そして微生物たちは根の中で増殖するために土壌に多く含まれるカルシウムやリン、硫黄、塩素を取り込み、増殖しながら生体アパタイトを作ります。その後、黒柿が成長する際に上の4つの元素に加えてカリウム、マグネシウム、ケイ素、ストロンチウムを取り込むことにより黒くなるそうです。
その過程で微生物が増殖するのに必要のないケイ素やストロンチウムを黒く変色した部分に残していくため、ケイ素が酸素と水素と反応してその部分が珪化木(木の化石)になる。

と書かれていました。
とても簡単にまとめただけなのでより正確に知りたい方は論文を読んでみて下さい。

論文なので専門用語が多くて難しいですが、樹木の変色原因の部分や結論の部分を読んで自分なりに簡単に直してみるのもいいかと思いますよ。

また。論文のとおりだと、黒柿が生えていた土壌には普通の土壌に比べて上記の元素が多く含まれていることが分かったので、今後このように上記の元素が多く含まれている土壌に生えている柿の木を切ったら黒柿が出やすいかもしれませんね。

 

コメント

  1. アバター 駒川 正治 より:

    なるほど、勉強になります。
    黒柿が出現する確率が高い場所が判明すれば、単価も抑えられるかもしれませんね。
    でも、乱獲になってしまっても嫌ですね。

    • chise chise より:

      確かに沢山取れれば単価が抑えられるかもしれないですね。
      でも、樹齢100年以上の柿の木に現れるという情報も聞きますから、取られすぎて無くなってほしくはないですね・・・

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